子どもの予防接種には、法律で決められていて無料で受けられる「定期接種」と、希望して受ける「任意接種」があります。任意接種は原則として全額自己負担ですが、長崎県内では多くの市町が、子どものインフルエンザの予防接種に独自の助成を出しています。ただし、対象になる年齢や自己負担の額は市町によって大きく違います。
この記事では、厚生労働省と県内の市町の公式サイトを確認し、2026年度の子どものインフルエンザの助成、2026年度から定期接種になった妊婦のRSウイルスワクチン、里帰り先で定期接種を受けたときの払い戻しなどを、市町ごとにまとめました。接種の予約をする前に、自分の市町の助成と手続きを確かめるために使ってください。
- 2026年10月9日に、厚生労働省・長崎県・各市町の公式サイトを確認して作成しています。
- インフルエンザの助成は毎年度内容が決まるため、この記事の内容は2026年度(2026年秋から2027年春)のものです。
- インフルエンザの助成は、公式サイトで内容を確かめた11市町を掲載しています。掲載していない市町にも助成がある場合があるため、接種の前に必ず市町の窓口か医療機関に確認してください。
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子どもの予防接種は定期接種と任意接種で費用が違う
定期接種は、予防接種法にもとづいて市町村が実施するもので、決められた期間内に受ければ原則として無料です。一方、任意接種は希望する人が受けるもので、費用は原則として全額自己負担になります。定期接種は全国で共通の制度ですが、任意接種の助成は市町が独自に決めているため、住んでいる場所によって負担が違います。長崎県では、子どものインフルエンザの助成がその代表的な例です。
定期接種になっているワクチンと任意接種のワクチン
厚生労働省の予防接種の一覧に定期接種として載っている子ども向けのワクチンは、ロタウイルス、5種混合(ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ・ヒブ)、小児の肺炎球菌、B型肝炎、BCG、MR(麻しん風しん)、水痘、日本脳炎、DT(2種混合)、HPV(子宮頸がん予防)などです。2026年度からは、妊婦のRSウイルスワクチンも加わりました。
子どものインフルエンザとおたふくかぜは、この一覧に入っていない任意接種です。インフルエンザの定期接種は65歳以上などの高齢者が対象で、子どもは含まれません。任意接種でも、市町が独自に費用の一部を助成していれば、自己負担を抑えて受けられます。
定期接種は期間を過ぎると全額自己負担になる
定期接種が無料になるのは、ワクチンごとに決められた接種の期間内に受けた場合だけです。長与町は、対象年齢の期間内なら無料で受けられ、対象年齢を過ぎると全額自己負担になると案内しています。体調不良や引っ越しで予定がずれたときは、期間内に受けられるよう早めに医療機関に相談しましょう。
例外として、2024年度にMRワクチンの供給が行き届かなかったことから、ワクチン不足で接種できなかった子どものうち、第1期は2022年4月2日〜2023年4月1日生まれ、第2期は2018年4月2日〜2019年4月1日生まれの子は、2025年4月1日から2027年3月31日まで、本来の期間を過ぎても定期接種として受けられる特例があります(長崎市の案内)。
2026年度から妊婦のRSウイルスワクチンが定期接種に
RSウイルスは、乳幼児の肺炎や細気管支炎の主な原因になるウイルスです。妊娠中にワクチンを接種すると、生まれた赤ちゃんのRSウイルスによる重い症状を防ぐ効果が認められていて、厚生労働省は2026年度から妊婦のRSウイルスワクチン(母子免疫ワクチン)を定期接種の対象にしました。
対象は、接種する時点で妊娠28週0日から36週6日までの妊婦で、この間に1回接種します。過去の妊娠で接種したことがある人も対象です。接種してから14日以内に生まれた赤ちゃんでは効果が確立していないため、妊娠38週6日までに出産する予定の人は医師に相談するよう、国は案内しています。
定期接種のため、対象の期間内に受ければ公費で接種できますが、厚生労働省は実施期間や費用が自治体によって異なると案内しています。里帰り出産で県外の病院を使う場合は、ほかの定期接種と同じく、事前に住んでいる市町で依頼書の手続きが必要になります。妊婦健診で産院に通うときに、その産院でワクチンを扱っているかを確認しておきましょう。
子どものインフルエンザの助成は対象年齢と期間が市町で違う
2026年度も、県内の多くの市町が子どものインフルエンザの予防接種を助成しています。ただし、助成を受けられる年齢の上限は、小学6年生までの市から、高校生に当たる年齢までの市町まで幅があります。中学生や高校生の子どもがいる家庭は、住んでいる市町で対象になるかを最初に確認しておく必要があります。
助成の対象は小学6年生までから高校生相当までと幅がある
公式サイトで確認できた、助成の対象になる年齢は次のとおりです。いずれも下限は生後6か月です。
| 対象になる年齢の上限 | 市町 |
|---|---|
| 小学6年生まで | 佐世保市 |
| 中学生まで | 長崎市(2026年度から中学生まで拡大)、島原市、大村市、平戸市、五島市、長与町、時津町 |
| 高校生に当たる年齢まで | 松浦市(18歳・高校3年生相当まで)、壱岐市、西海市(高校の在籍は問わない) |
接種の回数は、多くの市町で生後6か月から12歳(小学生)までが2回、13歳(中学生)以上が1回です。鼻にスプレーする経鼻弱毒生ワクチン(フルミスト)は2歳以上が対象で、1回の接種で済みます。注射と経鼻を両方受けたり、決められた回数より多く受けたりした場合、島原市では後から受けた分が全額自己負担になります。
インフルエンザの助成期間は10月から2月末までが中心
助成を受けられる期間は、2026年10月1日から2027年2月末日までとする市町が中心です。インフルエンザの流行が早かった2026年度は、壱岐市が例年より前倒しして9月16日から接種を始めています。五島市は2027年3月31日まで、平戸市は2月27日までとしつつ3月の接種も助成の対象にしています。
佐世保市は、ワクチンの効果が出るまでに少し時間がかかり、効果は5か月ほど続くとされることから、10月から12月ごろの接種を勧めています。島原市もできるだけ12月中旬までに受けるよう呼びかけています。医療機関によっては12月で接種を終えるところもあるため、早めに予約しておきましょう。
インフルエンザ接種の自己負担は市町で無料から数千円まで
助成の仕組みは、自己負担の額を市町が決めているところと、接種料から一定の額を差し引くところの2通りがあります。前者は窓口で払う額があらかじめ分かり、後者は医療機関の接種料によって負担が変わります。生活保護を受けている世帯などの扱いも含め、市町ごとの違いを、注射と経鼻のワクチンに分けて見ていきます。
注射のインフルエンザワクチン1回あたりの自己負担
公式サイトで確認できた、子どもの注射1回あたりの負担は次のとおりです。
| 市町 | 注射1回あたりの負担 |
|---|---|
| 時津町 | 無料(生後6か月〜中学3年生) |
| 長与町 | 就学前は無料、小学生・中学生は1,200円 |
| 五島市 | 小学生以下800円、中学生1,350円 |
| 平戸市 | 1,000円 |
| 松浦市 | 1,000円(高校3年生相当まで) |
| 島原市 | 1,500円 |
| 西海市 | 就学前1,300円、小学生1,500円、中学生1,700円、高校生相当2,000円 |
| 大村市 | 1,700円 |
| 長崎市 | 1,750円 |
| 佐世保市 | 医療機関の接種料から3,200円を差し引いた額 |
| 壱岐市 | 医療機関の接種料から2,000円を差し引いた額 |
時津町は注射のワクチンを中学3年生まで無料にしていて、確認できた市町の中では最も負担が軽くなっています。佐世保市と壱岐市は、医療機関ごとに違う接種料から助成額を差し引く方式なので、実際の負担は受ける医療機関によって変わります。確認できた市町の多くは、生活保護を受けている世帯を無料にしていて、医療機関に受給証明書などを見せる必要があります。
鼻から入れる経鼻インフルエンザワクチンの自己負担
2歳以上が対象の経鼻弱毒生ワクチンは、注射より接種料が高いため、自己負担も高めで、市町によって1回1,800円から6,500円まで幅があります。確認できた市町では、五島市が1,800円(小学6年生まで)、平戸市・松浦市が2,300円、大村市が3,100円、長崎市が3,500円、島原市が3,800円です。長与町は就学前は無料で、小学生2,400円・中学生5,700円、西海市は就学前2,600円から高校生相当6,500円まで年齢で分かれています。佐世保市は接種料から5,400円を差し引く方式です。
時津町は経鼻ワクチンも2歳から12歳までは無料ですが、13歳から15歳(中学3年生まで)は4,598円の費用がかかります。経鼻ワクチンは1回の接種で済みますが、体質や持病によっては受けられない場合があります。注射と経鼻のどちらを受けるかは、かかりつけの医師と相談して決めましょう。
おたふくかぜワクチンの助成は公式サイトで確認できない
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)のワクチンは任意接種です。長崎県内では、今回確認した市町の公式サイトに、おたふくかぜワクチンの助成の案内が見当たりませんでした。見当たらなかっただけで、助成がないと断定するものではありません。
助成がない場合、費用は医療機関ごとに決まる接種料の全額です。接種する回数や時期は、かかりつけの小児科医と相談して決めましょう。受ける場合は、医療機関に料金を確認し、念のため住んでいる市町の窓口にも助成の有無を問い合わせてください。
県外の里帰り先で定期接種を受けるときの手続き
里帰り出産などで、長崎県外の医療機関で定期接種を受ける場合、接種先の医療機関で費用を払うかどうかは、接種先の自治体や医療機関によって違います。費用を払った場合は、後から住んでいる市町に申請して払い戻しを受けます。この手続きには、接種する前の準備と、接種した後の期限の2つの注意点があります。どちらも市町ごとにルールが違い、準備を忘れると払い戻しを受けられないことがあるため、里帰りの予定が決まった段階で、住んでいる市町の予防接種の担当窓口に連絡しておきましょう。
県外で接種する前に市町の予防接種依頼書をもらう
県外で定期接種を受けるときは、住んでいる市町が発行する「予防接種依頼書」を医療機関に持っていきます。佐世保市は、依頼書が出る前に接種した場合は払い戻しの対象にならないと明記していて、受付から発送までに時間がかかるため、余裕をもって申請するよう求めています。佐世保市はオンラインでも申請できます。
大村市の依頼書は有効期間が3か月です。壱岐市は、依頼書の交付を受けた人は接種費用の全額を払い戻すと案内しています。払い戻される額の上限は市町が決めている場合があり、佐世保市は市が定める額が上限です。
定期接種の払い戻しの申請期限は市町で1年か2年
接種した後の払い戻しの申請には期限があり、市町によって違います。公式サイトで確認できた期限は次のとおりです。
| 市 | 払い戻しの申請期限 |
|---|---|
| 長崎市 | 接種日から1年以内 |
| 佐世保市 | 接種した日の翌日から2年以内 |
| 大村市 | 接種した日の翌日から2年以内 |
子どもの定期接種は回数が多く、里帰りの期間に何回分も受けることがあります。期限が1年の市町では、最初に受けたワクチンから1年が過ぎると払い戻しを受けられなくなる場合があるため、里帰りから戻ったら、まとめて早めに申請しましょう。申請には、領収書と、接種の記録が書かれた母子健康手帳や予診票の写しなどが必要です。
県内の別の市町で受けるときは広域化の医療機関に限る
長崎県内であれば、住んでいる市町の外にある医療機関でも定期接種を受けられる「広域化」の仕組みがあります。ただし、どの医療機関でもよいわけではありません。長崎市は、かかりつけ医が市外にいる場合や、市外の医療機関に入院している場合などに、その医療機関が「長崎県定期予防接種広域化委託医療機関」であれば無料で受けられると案内しています。
広域化の委託医療機関の一覧は、長崎県医師会のホームページで公開されています。受ける前に、その医療機関が委託医療機関かどうかと、予約が必要かを確認してください。長崎市は、無料で受けられるのは委託医療機関の場合と案内しています。
里帰り先が長崎県内の別の市町の場合も、この仕組みを使えることがあります。県外の場合とは手続きが違うので、出産前に住んでいる市町の窓口で、里帰り先でどの方法で受ければよいかを確認しておきましょう。
造血幹細胞移植の後のワクチンの打ち直しを助成する市町
小児がんなどの治療のために造血幹細胞移植(骨髄移植など)を受けると、それまでの予防接種で得た免疫が弱まったりなくなったりすることがあり、移植後に定期接種のワクチンを打ち直す「再接種」が勧められる場合があります。再接種は定期接種の対象外で、費用は本来、保護者の自己負担です。そこで長崎県は2022年4月から、20歳未満の再接種の費用を助成する市町に対して、その一部を補助しています(長崎県の案内)。
県の補助の対象は、移植前に受けた定期接種のうち、再接種が必要と医師が認めたものです。実際にどのワクチンを助成するかは市町ごとに決めていて、長崎市はロタウイルスを助成の対象から除いています。長崎市は、再接種の前に助成の対象になるかの認定を申請する流れで、手続きに時間がかかるため、再接種の見通しがついたら早めに相談するよう求めています。
長崎の子どもの予防接種の助成に関するよくある質問
予防接種の助成について、本文で扱っていない点をまとめました。
インフルエンザの助成を受けるのに申請は必要ですか?
手続きは市町と医療機関によって違います。松浦市や時津町は、市町への申請ではなく、医療機関に直接予約して接種を受けるよう案内しています。松浦市は接種日の1か月前から予約でき、五島市は中学生以下の接種に母子健康手帳を持っていくよう求めています。
市民税が非課税の世帯などが軽い負担で受けるには、書類を医療機関に見せる必要がある市町があります。長崎市は、市の福祉事務所が発行する公費負担の依頼証か、世帯主の2026年度の市民税非課税証明書(写しでも可)を医療機関で見せるよう求めています。
引っ越した後もインフルエンザの助成は受けられますか?
長崎市は「長崎市に住民票があること」、壱岐市は「接種当日に壱岐市に住所があること」を助成の条件にしています。このように住所を条件にしている市町では、引っ越して住民票を移した後に受ける接種は、引っ越し先の市町の助成の対象になるかで決まります。
対象年齢や自己負担の額、助成の期間は市町ごとに違うため、年度の途中で引っ越す予定がある場合は、転入の手続きのときに引っ越し先の市町の窓口で、インフルエンザの助成の内容を確認しておきましょう。

