長崎県のひとり親家庭の支援|児童扶養手当・医療費助成・養育費補助を市町別に解説【2026年10月】

長崎のひとり親家庭の支援 手当・医療費・養育費

長崎県でひとり親として子どもを育てる家庭は、国の児童扶養手当、県の医療費助成や貸付金、住んでいる市町の独自の支援を組み合わせて使えます。ところが、同じ県内でも、病院の窓口でいったん医療費を払うかどうかや、養育費の取り決めにかかる費用の補助を市町と県のどちらに申請するかなど、住んでいる場所によって手続きが変わります。

この記事では、こども家庭庁と長崎県、県内の市町の公式サイトを確認し、ひとり親家庭が使える主な支援を、お金・医療・養育費・仕事・相談先の順にまとめました。離婚や死別でひとり親になったばかりの方や、今使っている支援のほかに使えるものがないか確かめたい方の参考にしてください。

  • 2026年10月9日に、こども家庭庁・長崎県・各市町の公式サイトを確認して作成しています。
  • 公式サイトで内容を確認できなかった市町の制度は、表や本文に入れていません。制度がないという意味ではありません。
  • 金額や条件は年度ごとに見直されることがあるため、申請する前に必ずお住まいの市町の窓口で確認してください。

本サイトは民間が運営する情報メディアであり、長崎県および行政の公式サイトではありません。

目次

長崎のひとり親支援は国と県と市町の3段階

ひとり親家庭への支援は、誰が実施しているかで3つに分かれます。どこに申請すればよいかもこの区分で決まるため、最初に全体像を押さえておくと手続きの順番を間違えにくくなります。

実施する主体主な支援申請する窓口
国の制度児童扶養手当、高等職業訓練促進給付金、自立支援教育訓練給付金住んでいる市町(町の場合、給付金は県の福祉事務所)
県の制度ひとり親家庭の医療費助成の基準、母子父子寡婦福祉資金の貸付、町に住む人の養育費確保支援、エールながさき県こども家庭課、県の福祉事務所、市町
市町の独自の制度養育費の補助(長崎市)、進学の受験料の補助、ファミリー・サポートの利用料の補助、移住の支援など住んでいる市町

児童扶養手当や医療費助成は、どの市町に住んでいても使える土台の支援です。そのうえに、市町が独自に上乗せしている支援があるかどうかで、受けられる支援の厚みが変わります。以下では、土台になる国と県の制度から順に説明します。

児童扶養手当は2026年度から月48,050円に

児童扶養手当は、ひとり親家庭などで子どもを育てている人に支給される国の手当です。対象の子どもは18歳になった日以後の最初の3月31日まで(一定の障害がある場合は20歳未満)で、所得に応じて全額か一部が支給されます(長崎県の案内)。申請や毎年の手続きの窓口は、長崎県内ではどの市町に住んでいても市役所・町役場です。所得の限度額は、国の制度改正で2024年11月分から引き上げられました(こども家庭庁)。

2026年4月分からの児童扶養手当の月額

2026年4月分から、手当の月額は次のとおりです。長崎県のページも同じ金額を案内しています。

区分全部支給一部支給
子ども1人目(本体)48,050円48,040円〜11,340円
2人目以降の加算(1人につき)11,350円11,340円〜5,680円

2025年度は全部支給で月46,690円、2人目以降の加算が11,030円だったため、1年で本体が1,360円上がりました。一部支給の額は、前年の所得に応じて決まります。手当は年6回、1月・3月・5月・7月・9月・11月の11日に、前の2か月分がまとめて振り込まれます。

手当は申請した月の翌月分から支給され、申請が遅れた月の分はさかのぼって受け取れません。ひとり親になったら、なるべく早く市町の窓口で申請しましょう。

児童扶養手当の所得制限と毎年8月の現況届

手当を全額受け取れるかどうかは、前年の所得(1月から9月に申請した場合は前々年の所得)で決まります。長崎県のページでは、請求する本人の所得の限度額を、扶養する親族が0人なら全部支給で69万円未満・一部支給で208万円未満、1人なら107万円未満・246万円未満、2人なら145万円未満・284万円未満としています。国の資料では、親1人・子1人の2人世帯の場合、収入にしておよそ190万円までが全部支給、385万円までが一部支給の目安です。

手当を受け取り続けるには、毎年8月1日から31日までの間に「現況届」を出す必要があります。出さないと11月分以降の手当を受け取れなくなり、2年間出さないと受給資格そのものがなくなります。所得の審査では、請求する本人だけでなく、生計を同じくする配偶者や扶養義務者(同居する親など)の所得も確認されます。

ひとり親の医療費助成は1日800円・月1,600円まで

長崎県のひとり親家庭医療費助成では、親と子どもが病院にかかったときの自己負担が、1つの医療機関ごとに1日800円、月1,600円までになります。院外処方の薬局での負担はありません。対象は20歳未満の子を育てるひとり親と、その子どもです。子どもは、通院は18歳になった日以後の最初の3月31日まで、入院は18歳未満(高校在学中は20歳未満)が対象で、親の前年の所得が児童扶養手当の基準以上だと対象外です。県は1日800円・月1,600円を基準にしつつ、市町によって助成の内容が異なる場合があるとしていて、特に病院の窓口での払い方に違いがあります。

窓口で自己負担だけを払えるのは長崎市など一部

受給者証を病院の窓口で見せれば、その場で1日800円などの自己負担分だけを払えばよい方式を「現物給付」といいます。ひとり親の親について、公式サイトで現物給付を確認できたのは次の市です。

市窓口で自己負担分だけを払える医療機関
長崎市長崎市・諫早市・西海市・長与町・時津町の医科・歯科・調剤薬局
佐世保市佐世保市・平戸市・松浦市・小値賀町・佐々町の、市の実施医療機関の一覧に載っている医療機関
松浦市県北地域(松浦市・佐世保市・平戸市・佐々町)の、協定を結んだ医療機関(2024年3月診療分から)

大村市は「代理申請方式」で、市内の医療機関で受給資格者証を出すと、窓口ではいったん健康保険の自己負担を払い、医療機関が代わりに市へ申請して、診療月の翌月末に助成分が口座に振り込まれます。どの市でも、対象の地域の外の病院や、受給者証を見せなかった場合は、後から申請する方式になります。

島原市や平戸市などはいったん払って後から申請する

公式サイトで確認できた範囲では、島原市・諫早市・平戸市・壱岐市・時津町・佐々町・川棚町では、ひとり親の親は病院の窓口で健康保険の自己負担(3割など)をいったん払い、受診した月の翌月以降に市町へ申請して、助成分を振り込んでもらう「償還払い」です。諫早市では、現物給付の対象は小中学生だけで、親を含めてそれ以外はすべて償還払いと明記しています。

償還払いでは、申請に病院の領収書が必要です。島原市のように同じ病院の領収書を1か月分まとめて出すよう求める市もあり、提出した領収書は返ってきません。医療費の控除などで原本を使いたい場合は、コピーを出せるか窓口で確認しておきましょう。申請できる期間は、諫早市や佐々町のように診療月から5年としている市町があります。

なお、子どもについては、ひとり親の医療費助成よりも、市町の子ども医療費の助成が優先される場合があります。長崎市では中学生以下は「こども福祉医療」が優先されるため、子どもがどちらの制度の対象になるかを窓口で確かめておきましょう。

養育費の取り決めにかかる費用は町なら県が補助

離婚のときに養育費の取り決めを、強制執行を受け入れる文言を入れた公正証書にしておくと、支払いが滞ったときに裁判を経ずに差し押さえなどの手続きに進めます。その公正証書を作る費用や、養育費の不払いに備える保証会社の保証料には補助があり、町に住む人は県、長崎市に住む人は市に申請します。住んでいる場所で申請先が変わる点が、ほかの支援と違うところです。

町に住む人は長崎県の養育費確保支援事業を使う

長崎県養育費確保支援事業は、県内の町(小値賀町を除く)に住むひとり親が対象です。公正証書などの作成費用(公証人の手数料、家庭裁判所の調停や裁判の収入印紙代、戸籍謄本などの取得費)と、保証会社と結ぶ養育費保証契約(保証期間1年以上)の保証料を、合わせて5万円まで補助します。

申請は、公正証書を作った日か保証契約を結んだ日の翌日から6か月以内に、県のこども家庭課へ出します。2026年度の受付は2027年3月12日(消印有効)までで、予算に達すると早めに締め切られることがあります。市と小値賀町に住む人は県の事業の対象外で、市町によっては同じような補助をしていないと県が説明しています。

長崎市は作成費と保証料をそれぞれ5万円まで補助

長崎市は市独自に補助をしていて、公正証書などの作成費用と、養育費保証契約の初回の保証料を、それぞれ全額・上限5万円まで補助します。2つを合わせて最大10万円になる点で、合わせて5万円が上限の県の事業より手厚い仕組みです。

対象は、申請した時点で長崎市に住み、取り決めの対象の子どもを育てているひとり親です。作成日や契約日から6か月以内に、市のこども政策課へ申請します。長崎市以外の市では、今回の調査で同じような補助を公式サイトから確認できませんでした。市に住んでいる場合は、公正証書を作る前に市の窓口に補助の有無を問い合わせてください。

資格を取るときの給付金と生活のための貸付金

ひとり親が安定した仕事に就くために資格を取る場合や、子どもの進学・生活のためにまとまったお金が必要になった場合には、国の給付金と県の貸付金が使えます。給付金は返す必要がなく、貸付金は無利子か低い利子で借りられる点が特徴です。給付金は国の制度なので県内のどこに住んでいても使えますが、窓口は市に住む人なら市、町に住む人なら県の福祉事務所になります。どちらも、学校に入る前や講座を受ける前の相談が条件です。

看護師や保育士を目指す間は月7万500円から10万円の給付金

高等職業訓練促進給付金は、看護師・准看護師・保育士・介護福祉士・作業療法士・理学療法士などの資格を取るために養成機関に通う間、生活費を支給する国の制度です。長崎市の案内では、支給期間は修業期間の全期間(上限4年)で、月額は市民税非課税世帯が10万円、課税世帯が70,500円、最後の1年は月4万円が加算されます。修了したときには、修了支援給付金(非課税世帯5万円、課税世帯25,000円)も出ます。

国が指定する教育訓練講座を受ける場合は、自立支援教育訓練給付金で受講料の60%(上限あり)が支給されます。どちらも受講を始める前に事前の相談や講座の指定が必要です。高等職業訓練促進給付金を受けている人は、県の高等職業訓練促進資金で、養成機関に入学したときに入学準備金を50万円以内、修了して資格を取ったときに就職準備金を20万円以内で借りられます(介護福祉士・保育士の修学資金の貸付を受ける人は対象外)。

母子父子寡婦福祉資金は子どもの修学資金なら無利子

母子父子寡婦福祉資金は、ひとり親家庭の親や子どもに、事業の開始や子どもの修学、技能の習得、転居など12種類の資金を貸し付ける制度です。子どもの修学資金・就学支度資金・修業資金・就職支度資金は無利子です。それ以外の資金も、連帯保証人を立てれば無利子、立てない場合は年1.0%の利子で借りられます。

貸付は、これから必要になる費用が対象で、すでに払った費用や借金の返済には使えません。長崎市と佐世保市に住む人は市が、それ以外の人は県が貸し付けを行っていて、どちらも最初に母子・父子自立支援員に相談するところから始まります。県の審査会は毎月10日前後に開かれ、前の月の20日までに受け付けた申請を審査する決まりなので、入学金などの支払い期限から逆算して早めに相談しましょう。

町に住む人の相談や貸付の窓口は県の福祉事務所

児童扶養手当の申請は住んでいる市町の窓口ですが、母子・父子自立支援員への相談、福祉資金の貸付、高等職業訓練促進給付金などの窓口は、福祉事務所が担当します。県内で福祉事務所を持っているのは13の市と小値賀町だけで、それ以外の7町に住む人は、県の福祉事務所が窓口です(長崎県の相談窓口の案内)。

住んでいる町担当する福祉事務所
長与町・時津町県西彼福祉事務所
東彼杵町・川棚町・波佐見町・佐々町県東彼・北松福祉事務所
新上五島町県上五島福祉事務所

13の市と小値賀町に住む人は、市町の子育て・こども担当の課が窓口です。町に住む人は、手当の手続きは町の役場、貸付や給付金の相談は県の福祉事務所と、窓口が分かれます。県の福祉事務所に出向く前には、電話で相談したい内容を伝えておきましょう。

長崎市や諫早市など市町独自のひとり親支援

国や県の制度に加えて、市町が独自に設けている支援もあります。公式サイトで確認できた主な独自の支援は次のとおりです。子どもの進学や保育、預かり、住まい、移住に関わるものが中心で、ひとり親家庭に毎月現金を支給する市町独自の手当は、今回の調査では公式サイトから確認できませんでした。

長崎市は進学の受験料や保育料や市営住宅を支援

長崎市は「ひとり親家庭等進学支援補助金」で、高校3年生などが大学・短大・専門学校を受験するときの受験料を53,000円まで補助し、中学3年生の模擬試験の費用も補助しています(長崎市のひとり親家庭ガイドブック)。対象は、児童扶養手当と同じ程度の所得の世帯や住民税非課税の世帯などです。

保育料も軽くなり、ひとり親世帯で市民税の所得割が48,600円未満なら、保育標準時間で月7,500円(短時間6,700円)、77,101円未満なら9,000円(8,100円)で、2人目以降は無料です。市営住宅では、募集する戸数の一部を母子・父子家庭に限って優先的に入居できるようにしているほか、保育所への入所も優先的に取り扱っています。

ファミサポや放課後児童クラブの利用料を助成する市

子どもを一時的に預けるファミリー・サポート・センターの利用料を、ひとり親世帯向けに助成している市もあります。諫早市は、児童扶養手当やひとり親家庭の医療費助成を受けている世帯などに、利用料の半額(上限2,000円)を年10回まで助成すると案内しています(2023年2月更新のページ)。大村市は、ひとり親世帯などに年間24時間分の利用料を助成しています。

雲仙市は、児童扶養手当を受けている世帯などの放課後児童クラブの利用料を、月5,000円を上限に助成しています。対馬市は、市外から移り住んだひとり親家庭に、市内で通算6か月働いたら10万円、移住に合わせて車を買ったら購入費の半額(上限30万円)を補助する移住支援を設けています。公務員や事業所間の転勤で移り住んだ人、生活保護を受けている世帯は対象外です。

相談先は県のエールながさきと市町の自立支援員

支援の使い方や、離婚前の不安、仕事探しを相談したいときは、県が「ひとり親家庭の総合的な相談窓口」として案内しているひとり親家庭等自立促進センター「エールながさき」(長崎市茂里町)が使えます。電話は095-801-4445で、月曜から金曜(祝日を除く)の午前10時から午後6時まで受け付けています。

エールながさきでは、履歴書の書き方や模擬面接などの就業支援を行い、2026年3月からは無料の職業紹介所にもなりました。面接用のスーツも貸し出しています。毎月第3水曜日には、養育費の取り決めや履行の確保などについて弁護士が無料で相談に乗る特別相談(事前予約制)があり、カウンセラーへの相談は離婚前の人も利用できます。登録は無料で、県内に住む母子家庭の母、父子家庭の父、寡婦が登録できます。

貸付や給付金など制度の申請に関わる相談は、市の場合は子育て・こども担当の課、町の場合は県の福祉事務所にいる母子・父子自立支援員が受け付けています。

長崎のひとり親家庭の支援に関するよくある質問

ひとり親になったばかりの時期によく迷う点を、本文で扱っていない内容を中心にまとめました。

児童扶養手当が半分に減らされることはありますか?

あります。長崎県の案内によると、父または母が受給している場合、手当の支給が始まってから5年(申請したときに3歳未満の子を育てていた人は、その子が3歳になった翌月から5年)か、離婚などで支給の要件に当てはまってから7年を過ぎると、手当の一部(2分の1)が支給停止になります。

対象になる人には「児童扶養手当の受給に関する重要なお知らせ」と「一部支給停止適用除外事由届出書」が届きます。働いている、求職活動をしているなどの事情を示す書類を付けて期限までに出せば支給停止になりませんが、出さないと手当額の2分の1が止まります。

年金を受け取っていても児童扶養手当はもらえますか?

2014年12月から、遺族年金や障害年金などの公的年金を受け取っている人でも、年金の額が児童扶養手当の額より低い場合は、その差額分の手当を受け取れるようになりました(こども家庭庁)。以前は公的年金を受け取っていると手当は受け取れませんでした。

死別でひとり親になり遺族年金を受け取っている家庭などは、年金の額と手当の額の比べ方で受け取れる額が変わります。年金の証書や振込通知を持って、市町の窓口で受け取れるかを確認しましょう。

児童扶養手当と児童手当は両方受け取れますか?

両方受け取れます。児童手当はひとり親かどうかに関係なく子どもを育てるすべての家庭が対象の手当で、児童扶養手当はひとり親家庭などを対象にした別の手当です。申請の窓口はどちらも住んでいる市町ですが、手続きは別々に必要です。

離婚や転入の手続きで市町の窓口に行くときは、児童手当の受取人の変更や新規の申請も一緒に済ませておきましょう。

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