長崎の産院・産婦人科の選び方|県内33施設の分娩件数・里帰り出産・母子同室を比較【2026年10月】

長崎の産院・産婦人科の選び方|出産準備ガイド【2026年版】

長崎県内で産院を選ぶときは、まず住んでいる地域で出産できる施設を知り、そのうえで分娩の件数や里帰り出産の受け入れ、母子同室や立ち会い出産などの方針を比べるのが近道です。県内で出産できる施設は年々減っていて、地域によって選べる数が大きく違います。

この記事では、厚生労働省の「出産なび」に登録されている長崎県内33施設のデータと、長崎県の医療計画をもとに、地域ごとの産院と特徴をまとめました。妊娠がわかって出産する病院を決める前に、候補を絞るために使ってください。

  • 施設のデータは、2026年10月15日に厚生労働省「出産なび」から取得したものです(各施設の更新日は2026年10月1日、長崎県壱岐病院のみ10月8日)。分娩件数は施設が登録した直近の年間の実績で、施設によって時点が異なります。
  • 特定の産院の優劣を比べるものではありません。体の状態によって選べる施設は変わるため、最終的には主治医と相談して決めてください。
  • 受け入れの状況や方針は変わることがあります。予約の前に、必ず各施設に確認してください。

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目次

長崎県の分娩施設は2023年に40か所で2017年から減少

長崎県の医療計画によると、県内の分娩取扱施設は2023年8月時点で40か所で、2017年の49か所から年々減っています。内訳は、総合周産期母子医療センター2か所、地域周産期母子医療センター2か所、それ以外の病院・診療所33か所、助産所(出張助産師を含む)3か所です。

厚生労働省の出産なびには、2026年10月時点で長崎県内の33施設が登録されています。出産なびは、分娩を扱う施設が出産費用やサービスの内容を公表している厚生労働省のサイトで、この記事の施設ごとのデータはここから取得しました。医療計画の40か所と数が違うのは、時点の違いや、出産なびに登録していない施設があるためです。

医療計画は、離島の医療圏では分娩を扱う施設がそれぞれ1〜2か所と少ないとしています。島原半島でも、出産なびに登録されている施設は2か所です。こうした地域に住む人は選べる施設が限られるため、妊娠がわかった早い段階で、どこで出産するかを考え始めると選択肢を残せます。

総合病院と個人の産院の違いと周産期母子医療センター

出産できる施設は、大きく病院(総合病院・大学病院を含む)と、個人の産婦人科などの診療所、助産所に分かれます。施設の種類によって、合併症や早産のおそれがある場合に対応できる体制が違います。長崎県内では、出産なびに登録された施設のうち病院が11、診療所が21、助産所が1です。どの種類の施設が自分に合うかは、持病や前回の出産の経過、双子かどうかなどで変わるため、妊娠初期の健診で主治医にリスクの見通しを聞いておくと、施設を選びやすくなります。

高いリスクの出産を受け持つ4つのセンター

リスクの高い妊娠や出産、早産の赤ちゃんの治療を受け持つのが周産期母子医療センターです。長崎県では、長崎医療センター(大村市)を2007年に、長崎大学病院(長崎市)を2019年に総合周産期母子医療センターに指定していて、24時間体制で妊産婦と新生児を受け入れ、高度な医療を行っています。

センター所在地区分出産なびに登録されたNICU病床数
長崎大学病院長崎市総合周産期母子医療センター12床
長崎医療センター大村市総合周産期母子医療センター9床
長崎みなとメディカルセンター長崎市地域周産期母子医療センター9床
佐世保市総合医療センター佐世保市地域周産期母子医療センター6床

長崎県の周産期医療は、2つの総合周産期母子医療センターを中心に、2つの地域周産期母子医療センターと地域の産院がネットワークでつながる形で支えられています。総合周産期母子医療センターは、周産期医療ネットワークの中核として、地域の周産期医療機関と連携しているとされています。NICUは新生児集中治療室のことで、早産や低体重で生まれた赤ちゃんを治療する病床です。

診療所には年間400件を超える施設もあり方針もさまざま

長崎県内で、年間の経腟分娩を400件を超えると登録している4施設は、いずれも個人の診療所です。三浦産婦人科(時津町)、花みずきレディースクリニック(長崎市)、つきやま産婦人科・東島レディースクリニック(佐世保市)は、出産なびで年間401〜500件と登録しています。合併症などがあった場合にどの病院と連携しているかは施設ごとに違うため、候補の施設には提携先を確認しておきましょう。

診療所は施設ごとの方針の違いが大きく、母子同室か別室か、立ち会い出産ができるか、無痛分娩に対応しているかなどが分かれます。こうした方針は、出産なびの各施設のページで確認できます。

長崎県内の地域ごとの産院と年間の分娩件数を比べる

出産なびに登録されている施設を、地域ごとにまとめました。年間の経腟分娩の件数が多い順に並べています。施設名から出産なびの各施設のページを開けます。「表示なし」は、出産なびでその項目が表示されていないものです。分娩件数は施設の規模を知る目安になります。表は、まず住んでいる地域の表で通える範囲の施設を確かめ、次に母子同室や立ち会い出産の方針を見て、最後に後で紹介する里帰り出産の受け入れや費用を確かめる、という順に見ると比べやすくなります。

長崎市と時津町は県内で最も多い13施設

長崎市と時津町の施設は次のとおりです。

施設市町種類年間の経腟分娩年間の帝王切開母子同室立ち会い出産
三浦産婦人科時津町診療所401~500件41~60件母子同室可
医療法人愛育会花みずきレディースクリニック長崎市診療所401~500件41~60件母子同室可
医療法人しもむら産婦人科長崎市診療所301~400件21~40件母子同室可
まつお産科・婦人科クリニック長崎市診療所201~300件0~20件母子同室可
医療法人 小濱産婦人科医院長崎市診療所201~300件21~40件母子同室可
渕レディスクリニック長崎市診療所201~300件21~40件母子同室可
長崎大学病院長崎市病院151~200件151~200件母子同室可
医療法人宝マタニティクリニック長崎市診療所151~200件81~100件母子同室可
いまむらウィミンズクリニック長崎市診療所101~150件0~20件母子同室可
地方独立行政法人長崎市立病院機構長崎みなとメディカルセンター長崎市病院81~100件61~80件母子同室可
医療法人社団レディースクリニックICHIRO長崎市診療所81~100件1~20件母子同室表示なし
池田産科-YOU-婦人科医院長崎市診療所61~80件0~20件母子同室可
プロジェクト・マム さくらの里助産院長崎市助産所0~20件表示なし母子同室可

長崎市には県内で最も多くの施設が集まっていて、総合周産期母子医療センターの長崎大学病院と、地域周産期母子医療センターの長崎みなとメディカルセンターもあります。長崎大学病院は帝王切開も年間151〜200件と登録しています。総合周産期母子医療センターとして、リスクの高い妊娠に対する医療を担う施設です。助産院のプロジェクト・マム さくらの里助産院は、年間0〜20件の小規模な施設です。

佐世保市と佐々町の6施設には年間300件超の産院も

佐世保市と佐々町の施設は次のとおりです。

施設市町種類年間の経腟分娩年間の帝王切開母子同室立ち会い出産
つきやま産婦人科佐世保市診療所401~500件81~100件母子同室可
産科・婦人科・麻酔科 東島レディースクリニック佐世保市診療所401~500件41~60件母子同室可
医療法人佐世保晩翠会村上病院佐世保市病院301~400件81~100件母子同室可
地方独立行政法人 佐世保市総合医療センター佐世保市病院101~150件101~150件母子同室可
国家公務員共済組合連合会佐世保共済病院佐世保市病院61~80件61~80件母子同室可
平井産婦人科医院佐々町診療所61~80件1~20件母子同室可

佐世保市では、地域周産期母子医療センターの佐世保市総合医療センターのほか、年間の経腟分娩が300件を超える村上病院、つきやま産婦人科、東島レディースクリニックがあります。平戸市・松浦市には出産なびに登録された施設がないため、県北に住む人が県内で出産する場合は、佐世保市や佐々町の施設が主な候補になります。

県央の諫早市と大村市と川棚町にある8施設

県央地域の施設は次のとおりです。

施設市町種類年間の経腟分娩年間の帝王切開母子同室立ち会い出産
独立行政法人国立病院機構長崎医療センター大村市病院301~400件101~150件表示なし可
医療法人安永産婦人科医院諫早市診療所201~300件1~20件母子同室可
医療法人福重会レディースクリニックしげまつ大村市診療所201~300件41~60件母子同室可
まつお産婦人科川棚町診療所151~200件21~40件母子同室可
マムレディースクリニック諫早市診療所101~150件1~20件母子同室可
たらみエンゼルレディースクリニック諫早市診療所101~150件表示なし母子別室可
独立行政法人地域医療機能推進機構 諫早総合病院諫早市病院81~100件61~80件母子同室可
立石産婦人科医院諫早市診療所81~100件0件場合による可

大村市の長崎医療センターは総合周産期母子医療センターで、年間の経腟分娩が301〜400件、帝王切開が101〜150件と、県央で最も多くの分娩を扱っています。諫早市には個人の産院が多く、そのうち、たらみエンゼルレディースクリニックは出産なびで「母子別室」と登録しています。

島原半島と五島・対馬・壱岐で出産できる6施設

島原市・南島原市と、五島市・対馬市・壱岐市の施設は次のとおりです。

施設市町種類年間の経腟分娩年間の帝王切開母子同室立ち会い出産
山崎産婦人科医院島原市診療所301~400件41~60件場合による可
長崎県対馬病院対馬市病院101~150件0~20件母子同室可
品川病院壱岐市病院61~80件0~20件母子別室可
長崎県五島中央病院五島市病院61~80件21~40件母子同室不可
いその産婦人科南島原市診療所61~80件0~20件母子同室可
長崎県壱岐病院壱岐市病院21~40件1~20件母子同室可

島原半島で出産なびに登録されているのは、島原市の山崎産婦人科医院と南島原市のいその産婦人科の2施設です。離島は五島中央病院、対馬病院、壱岐市の品川病院と壱岐病院で、新上五島町と小値賀町には出産なびに登録された施設がありません(県の医療計画では、上五島の医療圏にも分娩を扱う施設が1か所あるとされています)。島外の病院への通院や出産前の待機が必要になる場合は、交通費や宿泊費の助成を出している市町があります。

里帰り出産を受け入れる県内の施設は19か所

出産なびで「里帰り出産の受け入れ」ができると登録している県内の施設は19か所です。施設によっては、里帰り出産を希望する場合の予約の期限(妊娠何週までに予約するか)を登録していて、早い施設では妊娠20週までの予約を求めています。

施設市町予約の期限受診の期限
渕レディスクリニック長崎市20週34週
長崎県五島中央病院五島市28週34週
長崎県壱岐病院壱岐市30週34週
山崎産婦人科医院島原市30週34週
立石産婦人科医院諫早市30週32~33週
平井産婦人科医院佐々町32週34週
独立行政法人国立病院機構長崎医療センター大村市32〜34週32〜34週
まつお産婦人科川棚町32週34週
医療法人 小濱産婦人科医院長崎市32週34週
医療法人佐世保晩翠会村上病院佐世保市34週34週
国家公務員共済組合連合会佐世保共済病院佐世保市34週34週
マムレディースクリニック諫早市34週34週
医療法人安永産婦人科医院諫早市34週34週
医療法人宝マタニティクリニック長崎市34週34週
産科・婦人科・麻酔科 東島レディースクリニック佐世保市35週35週
地方独立行政法人長崎市立病院機構長崎みなとメディカルセンター長崎市35週35週
たらみエンゼルレディースクリニック諫早市表示なし表示なし
独立行政法人地域医療機能推進機構 諫早総合病院諫早市表示なし34週
長崎大学病院長崎市表示なし表示なし

予約の期限は、渕レディスクリニックが妊娠20週、五島中央病院が28週、山崎産婦人科医院・立石産婦人科医院・長崎県壱岐病院が30週などです。出産なびでは、分娩を希望する場合の「予約の期限」とは別に、里帰り先の施設に初めてかかる「受診の期限」も登録されていて、渕レディスクリニックは予約が20週まで、受診は34週までです。里帰り出産を考えているなら、妊娠初期のうちに里帰り先の施設に問い合わせておきましょう。期限が登録されていない施設も、受け入れの条件は直接確認が必要です。

里帰り先に移るまでの妊婦健診は住んでいる地域で受け、途中から里帰り先の施設に通うことになります。妊婦健診の受診票は長崎・佐賀・福岡の医療機関で使えるのが基本ですが、長崎市は県外で使えないなど市町で扱いが違い、使えなかった健診は後から払い戻しを申請します。

母子同室と立ち会い出産と入院日数は施設で違う

出産後の過ごし方や家族の付き添い方も、施設によって違います。出産なびの登録では、県内33施設のうち28施設が母子同室と登録していて、多くの施設で赤ちゃんと同じ部屋で過ごせます。母子別室と登録しているのは品川病院(壱岐市)とたらみエンゼルレディースクリニック、「場合による」としているのは山崎産婦人科医院と立石産婦人科医院で、長崎医療センターはこの項目が表示されていません。

立ち会い出産(経腟分娩の場合)は、ほとんどの施設が「可」と登録していますが、五島中央病院は「不可」としています。立ち会いができる施設でも、人数や続柄に制限を設けていることがあり、長崎医療センターは立ち会いを1人までとしています。感染症の流行の状況によって方針が変わることもあるため、妊娠後期に改めて確認しておきましょう。

出産後の入院日数の中央値は、登録のある施設で5〜7日です。初産か経産か、帝王切開かどうかで日数は変わることがあります。

出産費用と無痛分娩も施設選びの材料になる

出産なびには、施設ごとの出産費用の目安も登録されています。長崎県内では、費用の目安(中央値)が46.2万円から59.5万円まで施設によって差があり、現在は出産育児一時金(50万円)を超える分が自己負担になります。費用は施設選びの大きな材料なので、候補の施設の費用目安も一緒に確認しておきましょう。

無痛分娩は、出産なびで「希望による無痛分娩可能」と登録している県内の施設が5つ(村上病院、三浦産婦人科、東島レディースクリニック、山崎産婦人科医院、しもむら産婦人科)、「医学的な理由がある場合のみ」と登録している施設が7つです。無痛分娩の費用を登録している施設では、通常の分娩費用に上乗せされる形で、金額は施設によって違います。希望する場合は、24時間対応か、計画分娩になるかも含めて、早めに施設に相談しましょう。

産院を決める前に見学や初診で確認したいこと

出産なびのデータで候補を絞ったら、見学や初診のときに、次のような点を直接確認しておくと、出産が近づいてから困ることを減らせます。

  • 分娩の予約はいつまでに必要か、予約が埋まりやすい時期はあるか
  • 合併症などで転院が必要になった場合の提携先の病院はどこか
  • 夜間や休日に陣痛が来たときや体調が心配なときの連絡先と対応
  • 母子同室・立ち会い出産・面会のルール(人数や続柄の制限)
  • 出産費用の見込みと支払い方法、出産育児一時金の直接支払制度が使えるか
  • 無痛分娩や計画分娩への対応と、その費用

自宅や職場からの距離も大切です。妊娠後期は健診の回数が増え、陣痛が来てから施設に向かうことになるため、移動にかかる時間を考えておきましょう。妊娠届をまだ出していない場合は、妊娠届と母子手帳の手続きもあわせて進めておくと、受診票を使って健診を受けられます。

長崎の産院・産婦人科の選び方に関するよくある質問

産院選びについて、本文で扱っていない点をまとめました。

最初の受診はいつごろ行けばいいですか?

妊娠検査薬で陽性が出たら、産婦人科を受診して妊娠を確認してもらいます。胎児の心拍が確認できた後に、妊娠届を出して母子健康手帳を受け取る流れで、長崎市は主治医の指示を受けたら11週ごろまでに届け出るよう案内しています。

最初に受診する施設と出産する施設は、同じでなくてもかまいません。分娩を扱っていない婦人科で妊娠を確認し、その後に出産する施設へ移ることもできるため、最初の受診は通いやすい施設を選び、そこで出産する施設の相談をするとよいでしょう。

妊娠の途中で産院を変えることはできますか?

体調の変化や合併症、引っ越し、里帰りなどで、妊娠の途中で産院を変えることはできます。転院するときは、これまでの検査結果や経過を書いた紹介状を、今かかっている主治医に用意してもらうのが一般的な流れです。

出産なびで予約の期限や受診の期限を登録している施設では、その時期を過ぎると受け入れの条件が変わることがあります。転院を考え始めたら、早めに主治医と転院先の施設の両方に相談しましょう。

双子の妊娠ではどの施設で出産することになりますか?

双子などの多胎妊娠では、妊娠の経過を見ながら、主治医と相談して出産する施設を決めます。周産期母子医療センターのように、NICU(新生児集中治療室)がある施設が候補になることがあります。

どの施設で出産できるかは、妊娠の経過や施設の方針で変わります。妊娠初期に多胎とわかったら、出産する施設と、健診をどこで受けるかを早めに主治医に相談しておきましょう。長崎県内では、双子以上の妊婦の健診費用を追加で助成する市町もあります。

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